2013年01月05日

初夢

遠くの灯りが時たま、嵐の波しぶきに消えかかった灯台のやうに弱々しくきらめきます。

山を越えているのだらうか、はたまた遮るもののない夜の草原を走っているのか。

時折り過ぎ去る電柱を置いて、列車が進む。

それ以外何も見えぬ闇が広がる窓の向こう。

夜の車窓は、黄色い電灯に照らされた乗客の顔を映します。

ムンクの叫び。みたいな顔やら
疲れた顔やら
または
旅の終わりを知らぬ態ではしゃぐコドモ。

好き勝手な方向に向く座席に座る顔たち。

直角に備え付けられた木の板に、もう背中が馴染む頃

爪で引っ掻いたら、白い線の残るエンジ色のモケットが
足下からの暖房を伝えます。
暑いぐらい。

窓側に座った女は私の旧友アサボンで、私の肩にもたれかかって眠りこけて居る。

向かい合った座席に座り、窓の外を見つめている見知らぬパナマ帽の若年紳士を見るともなく…目をやる私。

「かっこええの・・・」

肩にもたれかかる旧友を、時たま押し返しながら
窓を見るフリをして眺めてをると

「あの・・・すいません。」

少しぽっちゃりとした、礼儀正しさうなご婦人が声をかける。

「トイレはどこでしゃうか?」

なんて無粋な。

憮然として私は窓に映るパナマ帽紳士を盗み見ていると

問われた彼は(なぜか同性の私ではなく、彼に訊く彼女。)

「あぁ♪」
それならね。

まるで、今が永遠の夜などではないかのやうに

明るく軽く答える彼。

「予約・・・とってます?」

ちょと居住まいを正し、あたりをはばかるやうな小声。

「ええ!とっていますとも。」

「正しい」会話を交わしている確固とした「やりとり」に

そんなシステムなど知らぬ私は、肩から膝の上に滑り落ちたアサボンの頭を
少々「邪険」に退け、聞き耳をたてるのです。

先ほどビュッフェでいただいた、うどんの出汁まで無関係に思い出しながら。



この列車では…「トイレが予約制」な・の・か?

◇◇◇

途端に、脳裏を目まぐるしく駆ける「最近出てくるトイレ」。

ヂツワもちろん、最近の「夢」に出てくるトイレ。
と言い換えても良い。

というのは
「いつも同じ」公衆トイレ。だからなンだな。

「狭くて」尚且つ扉が上の方に付いていたり
(しゃがんだら丸見え)

とか、「流すべき穴」がない。とか。

扉を閉めたくても閉められないトイレとか。

すぐにノックが始まって、全然落ち着かないトイレとか。

・・・・・・

そのご婦人は、そんなトイレを「渇望」していた。のだと思う。

そんなトイレ「しか」ないからなのか?

◇◇◇

ここで目が覚めた。

覚めて思った。

「こんな」油断のできぬ「場所」を望んでいたご婦人の

「今の流れ」を知っている風潮と

「そんな」流れを知らずにいた、そして「そんな」トイレは使えぬまま。の私。

きっと

飛び越えねばならぬ。気がしてきた。

「初夢」の強迫観?
(笑)(笑)

見たのわ3日の明け方だから、初夢でもないか。

ふふ。  


Posted by 花椒 at 21:31Comments(6)