2011年09月15日

禁じられた秋



森に住むワタシは




美味しいとウワサに聞く、
ある木の実をさがしに出かけました。

魔法使いのお爺さんは
「ぉおぉお、そりはあそこにあるのじゃよ。」

親切にも教えてくださいます。

これがそうかしら…?



んんん。ちょっとちがうような気もするわ。

◇◇◇

伝説の熊を追っていたわしは

五色台という山の中に迷い込んでいた。

早朝からの駅付近で、慣れぬ電算機を扱いながらも
マタギとしての矜持は忘れぬ。

解放されてすぐに山へ潜り込むのだが

背中に背負った電信機が鳴る為
否応なく散弾銃を置く。

わしを呼び出すのはどこのどいつだ。

◇◇◇

森の中で5枚葉を持つ紫色の木の実。

くねくねしたツルを見つけるたびに
ワタシは車から出てさがすの。

「アケビはどこかしら。」

◇◇◇

わしは受信した基地に向かって
モールス信号を送る。

ツーツートン。

「な、次の連休やけど…
新しいシステムの研修に
出てきて〜」

獣は無慈悲に言い放つ。

わしは電信機を叩きつぶしたくなったが
了解。

ついでに問う。
ツーツートン。

「あけび。」

数秒してモールス信号がかえる。

「…酔うとん?
アケビて今なん?俺、高知なら場所分かるけど。」

駅早出の後、高知の山奥に走るのわつらい。

「ナンカイイタソウナ課長に代わるわな。」

◇◇◇

魔法使いのお爺さんは
今ワタシがいる場所を聞いた後、

「ほな、五色台自然科学館の方へ」
と告げます。

「はい。」

「女の子、一人で行ったらいかんで。」

・・・・・

ワタシ、女の子でわないから大丈夫。

◇◇◇

自然科学館までの道。

合間に「5枚葉」ツルを徐行運転(後続車に注意しながら)探し続けます。

途中、自衛隊の演習場を横目に。

◇◇◇

なんだか美味しそうな木の実をたくさん見つけたの。

でも、きっと違う。

しぜんかがくかん。という場所についたら

カマをもった男の人がいたんです。

スカートのまま、かの地を歩いたら
蚊にさされたし

アケビも見つからない。
から
彼にたずねました。

「アケビはどこでしょう?」

とっても優しい笑みを浮かべる彼は

自然科学館の館長は植物に詳しいから…訊きなさい。

あ、山に入るのなら
「長靴」でね。

とんでもなく場違いな
仕事帰りの「ハイヒール」を目に

彼は教えてくれました。

◇◇◇

私の行く手を阻む「立ち入り禁止」札。







連休もフイにした私の。





空。
  


Posted by 花椒 at 18:18Comments(6)