空と海と道路

さびしい町のはずれで

アタシはマッチを売っていたの。

一本つけては手をあたため、
また一本つけては白い息をはくの。

空にはマボロシのごちそうが浮かんではきえ。



遠いむかしにおじいさんが作ってくれた

むらさきいも、かぼちゃ、じゃがいもに干し肉のサラダ。

村のニワトリが産んだ卵をいっこ。

◇◇◇

本日郊外勤務地。

とてもヒマだった私は

突然現れたカニ社長に
おののきながらも

自販機の「お汁粉」をおごってもらった。

かねてより、同じ伊藤園の自販機を備える事務所にて。

オフカロリー「ベルガモットティー」しか選ばぬ
「アピール」をしてをった私だが…

「効果は見られなかった」ようだ。

ふ

◇◇◇

こごえる空を見上げるアタシに

なんだか、とってもあせっているオジサンが

あひっ。とつぶやきながら
「お汁粉」を持ってきてくれた。

あったかい…。

でも…私、あんまり好きじゃないの。

涙を浮かべて見上げたら

マタギだったおじいさんが

空から話しかけてきた。

「これこれ。
カワユラスィ王族の末裔よ。」

「かなしむではない。」

マッチをまたすって、
耳をそばだてるアタシ。

「世の中には、

『もっと』かなしい人がいる。」

◇◇◇

事務所にいた同僚ぎゅう。

「あるコクハク」を聞いて

私は大笑いした。

笑いすぎて仕事に支障をきたすほどだ。

「私、スカートに『穴』があいたんです！」



確か、私と同じ7号サイズ。

ホックを数限りなく「飛ばす」常習犯の私を

せせら笑っていた美女。

「ある日、イスに座ろうとして
スカートを手で整えたら…

『手が入った！』んね。」

「そこにあるハズのない」穴に。

…スカートにあいた穴。

ぶっ！

「そりは金属疲労ならぬ、
布疲労ぢゃのっ！」

◇◇◇

スカートにあいた穴。って
どんなのかしら？

アタシはホックが
時たまとびます。

ハズカシイけど言います。

でも…「穴」はあいたことがないの。


空を見上げてアタシは

うなずいたの。
うんうん。

ありがとう。おじいさん。

元気が出たわ。

◇◇◇

「替え」のスカートがあって良かった！

同僚は叫びます。

良かったねぃ。

私も替えを新調したけど…

「穴」はないけに。

ぷぅっ